変動費用（variable costs）とは、製品またはサービスを提供するために必要な、直接的な資源や原材料、労働力、エネルギー費用など、製品の生産量や提供量に応じて変動する費用のことを指します。
変動費用には、直接的な資源費用（原材料、パッケージング、輸送等）や労働力費、電気やガスなどのエネルギー費、必要な設備や装置の維持費用などが含まれます。変動費用は、目標とする製品またはサービスの生産量や提供量に応じて変動するため、生産量や提供量が増加すれば、変動費用も増加するという特徴を持っています。
例えば、ある製造工場が今年の目標とする製品の生産量を10,000個とした場合、製造工場が必要とする原材料の費用が単価1,000円、総生産量が10,000個の場合、原材料費用は10,000個×1,000円＝10,000,000円となります。同様に、製品を製造するために必要な労働力費、エネルギー費、必要な装置の維持費用なども、製品の生産数量に応じて増加するため、製品の生産量が増加するにつれて、変動費用も増加することになります。
変動費用は、売上高から差し引かれる固定費用（固定費）と対比される場合があります。固定費用は、生産ラインの設備費、人件費、賃貸料、保険料、広告宣伝費用などのように、企業にかかる費用であっても、生産量や提供量が変わってもあまり変動しない費用です。これらの費用は、企業が製品の生産やサービスの提供を開始する前に、支払われることが多く、生産ラインの稼働状況に関係なく、定額で支払い続ける必要があります。
一方、変動費用については、製品やサービスの生産量や提供量に応じて、量に応じて支払う必要があるため、生産・提供する量が減少すると、変動費用も減少するという特徴を持っています。
変動費用の概念を理解することは、企業にとって極めて重要です。なぜなら、変動費用が企業の利益に直接影響するため、製品またはサービスの販売価格を設定する際に、変動費用を正確に把握することが必要であるからです。また、変動費用を把握することにより、製品・サービスの生産量を最適化することができ、企業の生産性をさらに向上させることができます。
