垂直統合とは何ですか？
垂直統合とは、ビジネスにおいて横断的でなく、一貫性のある生産・販売・流通を行うことを指します。つまり、企業が製造から販売までのあらゆる工程を自社で行い、独自の製品供給システムを確立することを目指した経営戦略のことです。
垂直統合の種類
垂直統合には、上向き垂直統合と下向き垂直統合の2つの種類があります。
上向き垂直統合
上向き垂直統合は、行程の前段階から後段階までの各段階を一貫して自社で行うことを指します。具体的には、原材料の調達、部品・部材の製造、製品の組み立て、仕上げ、販売、流通までの工程をカバーします。上向き垂直統合を採用することで、企業は独自の価値連鎖を確立することができます。
下向き垂直統合
下向き垂直統合は、行程の後段階から前段階までの各段階を一貫して自社で行うことを指します。具体的には、販売や流通から製品の仕様設計、部品・部材の調達、製造までの工程をカバーします。下向き垂直統合を採用することで、企業は生産プロセス全体を把握し、効率を高めることができます。
垂直統合のメリット
垂直統合には以下のようなメリットがあります。
コスト削減効果
垂直統合により、規模の経済的な相乗効果を得ることができます。具体的には、原材料調達や物流コストの削減、部品調達・製造の削減、品質管理コストの削減などが挙げられます。
生産効率の向上
垂直統合により、生産ラインの調整やスケジュール管理が容易になります。また、品質管理や計画の統合により、生産効率の向上が期待できます。
品質改善
部品・部材の調達を自社で行うことで、品質管理をより一層徹底することができます。加えて、製造プロセス全体を自社で管理することで、品質のばらつきを最小限に抑えることができます。
競争力向上
垂直統合を達成することで、企業は独自の強みを持つことができます。加えて、原材料調達や物流コストの削減により、コスト競争力を維持することができます。そのため、競争力を維持し、市場で生き残ることができます。
垂直統合のデメリット
垂直統合には以下のようなデメリットがあります。
経営リスク
垂直統合は生産の多角化により、企業にとって新たなビジネスドメインに進出することとなります。そのため、新規事業のリスクを抱えることとなります。
コストリスク
垂直統合には、品質管理、原材料調達、生産設備投資、人材育成など、多くの費用がかかります。そのため、投資効果が出ない場合、大きなコストリスクを抱えることになります。
複雑な組織運営
垂直統合には、多数の生産・営業部門を束ねる組織運営が必要となります。そのため、多くの人材を抱えることになるため、組織運営や人材育成などが複雑化することがあります。
まとめ
垂直統合は、企業が製造から販売までの各段階を自社で一貫して行うことを指します。上向き垂直統合と下向き垂直統合の2つの種類があり、コスト削減効果や生産効率の向上、品質改善、競争力向上などのメリットがあります。一方で、経営リスク、コストリスク、複雑な組織運営などのデメリットもあります。企業は、自社の状況に応じた垂直統合を慎重に検討する必要があります。
