コーポレート・アイデンティティとは何か?
「コーポレート・アイデンティティ」とは、日本語で「企業のアイデンティティ(=特徴を、独自性を)」と訳されます。企業が持つイメージやブランド価値を構成する要素や、企業の内面的な特徴を表現するための視覚的・言語的なシンボル、コミュニケーションの基本となるストーリー、企業文化や経営理念、およびブランド戦略・ブランディングの根幹に関する概念です。
コーポレート・アイデンティティの要素
企業のコーポレート・アイデンティティを構成する要素は、次の4つに分類されます。
1. コミュニケーション・エレメント
コーポレート・アイデンティティを構成する最も基本的な要素が、「コミュニケーション・エレメント(=ロゴ、カラー、タグラインなど)」です。視覚的な要素であり、企業の顔となるものです。企業のアイデンティティを表現する中心となるものであり、消費者にとっての企業のイメージ形成に重要な役割を果たします。
2. ビジュアル・エレメント
「ビジュアル・エレメント」とは、コミュニケーション・エレメント以外の企業の視覚的なイメージを表現する要素です。例えば、オフィスの内装、パッケージのデザイン、広告のモデルやスタイルなどが挙げられます。
3. コミュニケーション・ビジョン
企業が持つべきコミュニケーション戦略を示したものを、「コミュニケーション・ビジョン」と呼ばれます。言葉やストーリーによって、消費者に対する企業の独自性や特徴を訴求し、それを支えるブランディング戦略を展開することが求められます。
4. 経営理念・企業文化
企業の経営理念や企業文化は、コーポレート・アイデンティティを構成する要素の一つです。経営者が企業に求める役割や存在意義を示すことで、内面的な特徴を表現し、企業の経営方針を明確にすることができます。
コーポレート・アイデンティティの重要性
コーポレート・アイデンティティが持つ重要性は、主に以下の3つに分類されます。
1. 個性を表現することで競争優位性を確立する
企業が持つコーポレート・アイデンティティは、その企業個性を表現する手段の一つです。他社と差別化することができる独自の魅力・特徴を持つ企業は、顧客や消費者からの支持を受けることができ、競争優位性を確立することができます。
2. コミュニケーションの基盤を作ることでイメージ向上につなげる
コーポレート・アイデンティティは、ロゴ・カラーなどの視覚的な要素を中心にして企業イメージを形成します。一方、ストーリーや経営理念・企業文化は、企業と消費者とのコミュニケーションの根本となるものです。消費者とのコミュニケーション自体が、企業のイメージ向上につながります。
3. ブランド価値を高めるための基盤として位置づける
企業にとって、コーポレート・アイデンティティはブランド価値向上の重要な基盤となります。独自性や信頼性、社会的責任などの企業の内面的な特徴をあらわにすることで、企業ブランドの価値向上に繋げることができます。また、消費者へのアピール方法やストーリー戦略も、ブランド価値向上に不可欠な要素です。
コーポレート・アイデンティティの具体的な例
コーポレート・アイデンティティの具体的な例をいくつか紹介します。
1. Apple
Appleは、シンプルでスマートなデザインが特徴的であり、消費者からの支持を得ています。ロゴは、リンゴをイメージしたシルエットマーク。オフィスの内装や広告など、一貫したビジュアルイメージが企業のイメージ向上につながっています。
2. エポスカード
エポスカードは、カードのデザインにおいて、「ブランドカラー=ブルー」を強調しています。また、ロゴマークには「POS」の文字が含まれており、カード発行元がポスト・オフィス・セービングスのグループ企業であることをアピールしています。
3. Coca-Cola
Coca-Colaのロゴは、クラシックなデザインが特徴的で、発売から長年連綿と愛されています。また、製品のパッケージデザインや広告にも一貫したビジュアルイメージを採用しており、世界中で親しまれています。
まとめ
コーポレート・アイデンティティは、企業が持つイメージやブランド価値を構成する要素であり、消費者に対する印象形成に重要な役割を果たします。視覚的な要素を中心にして企業イメージを形成する「ロゴ」「カラー」「パッケージデザイン」など。「ストーリー」「経営理念・企業文化」などの内面的な要素をもって、企業と消費者とのコミュニケーションの基盤を作ります。企業が取り組むブランディング戦略の根幹に位置づけられており、競争優位性やブランド価値向上に不可欠な要素となっています。